思い出の中にある一杯のココアとは
2021.11.17
入学試験を控えていた寒い冬のこと。
急に志望校を変更した私は、毎晩徹夜の勉強を余儀なくされていました。
自分から言い出したのだから、不合格になるなんて自分自身で許されない!
どうしても入らざる得ない状況でした。
しかし、夜中に襲われる眠気にウトウトすることもしばしば…。
ちょうど、そんなときには階下から何だか甘い香りが漂ってきます。
食いしん坊の私は、薄っすら眠気眼で鼻をぴくぴくさせます。
すると母が「冷めないうちにおあがり」と言って、湯気の立ち上ったマグカップを置いてくれるのです。
中身はトロリと甘いココア。
飲むと芯から温まり、不思議なほどやる気が湧いてきました。
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両親は進路については、私の希望を優先させてくれていました。
急な変更に不安を感じつつも、母のココアの応援は受験が終わるまで続きました。
お蔭で、志望校に無事合格。
これで、母のココアの応援はなくなりました。
それまではあまり口にしなかったココアを折に触れて飲むようになりました。
今でもココアは母の思い出と共に、大好きな飲み物の一つです。